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「ISO活用企業」事例紹介

国際標準化機構(ISO)が開発する規格、特に「ISO 9001」「ISO 14001」を積極的に活用している企業を訪問。取り組みの背景や、ISO活用によるメリットなど、経営ツールとしての効果をヒアリングしています。

ISO9001 活用企業紹介
ISOは小さな会社ほど導入するべきスムーズな業務進行と信用がアップする体制づくりを

めっき用試験器や分析器を製造。2004年にISO9001取得。2016年2月には2015年秋改訂のISO9001を早くも取得している。

かつて、業務は「暗黙のルール」で進行

材料の表面に金属の皮膜を行うのがめっきです。同じ機材を使用してもめっきの質は変わりますし、お客さまによって求めるめっきの質は異なります。そのため、めっき品質の維持や最適な工程開発に、実験装置や試験器が必要となります。大企業の研究所や大学などを中心に、弊社がそのお手伝いをしています。

弊社は私の父が1950年に創業。社長によるいわゆる“ワンマン”経営で、社内は暗黙のルールで業務が動いていました。そのため属人的な部分も多く、1つの判断を仰ぐシーンで当人が不在だと業務が前に進まないことも……。業務のルール化や文書化を行うことで、仕事がもっと上手く回るのではないかと考え、ISO9001をベースに自社の決まりを作ることにしました。


ISO9001の登録証

「業務ルールの明確化」を目的にISO9001取得を

うちは大企業ではありません。コンサルタントの方に「御社に合ったかたちでやればいい」というアドバイスをいただきました。マニュアルに沿ったやり方ではなく、1~2年ゆっくり時間をかけて「キーマンがいなくても業務が回ること」を意識し自社の手順を基本にルール作りを進めました。その結果、2004年にISO9001を取得。よく取引先から「関係各社にお願いしているのでぜひ御社も」というような“外圧”で取得するケースも耳にしますが、そういう意味ではうちは“自発的”ということになります。

業務のルール化導入は、(それまでの業務を踏襲したい)一部の年配者を中心に抵抗する社員もいました。しかし、新しい仕組みについて当番制で勉強会を行うなど、時間をかけることで徐々に浸透。慣れてきたこともあり現在では、それぞれ仕組みに工夫を加えるなどしっかり定着してきています。


これまで製造した試験器や分析器のサンプル

「信用の均一化」につながる - ISOは小さな会社ほど導入すべき

10年以上運用してきたISO9001。2016年度の事業計画を立てるにあたり、2015年秋にISO9001が改訂される話を聞きました。今回の改訂では経営方針への踏み込みが組み込まれていることもあり、2008年版ではなく2015年版で更新することに。加えて、改訂直後なので改訂ポイントをよくわかっている審査員の方が来られるのでは?という期待もありました。新しいISO9001は、弊社がより理想的な活用を考えていた際に発行されたこともあり、スムーズに移行が完了。私の頭の中もすっきり整理できました。

大企業にはルールがあります。さまざまな社員がいて、本来その信用度合は人それぞれ異なるはずです。しかし、業務のルール化によって、信用の均一化を図ることができる……つまり、信用の“底上げ”が可能になると思うんです。そういった意味から、私は小さな会社ほどISOを導入すべきではないかと考えています。

株式会社 山本鍍金試験器

代表者: 山本 渡  資本金: 8,000万円
事業内容: 湿式表面処理装置(100L容量以下)、湿式表面処理試験装置、
湿式表面処理分析器(塗装を除く)の設計・開発及び製造
湿式表面処理関連製品(機材・薬品)の設計・開発及び製造
医工学関連製品(液体試料用の実験器具)の設計・開発及び製造
URL:http://www.yamamoto-ms.co.jp/

ISO9001 活用企業紹介
ISOは会社が変わるチャンス 独自のマニュアルは「営業ツール」としての活用も

パッケージや化粧箱などを製造する印刷会社。2014年にISO9001を取得。
2015年秋改訂のISO9001移行審査を日本規格協会登録組織の中で最も早く受審。(徳岡大輔 専務取締役)

「会社が変わるきっかけ」を目指しISOの取り組みを

(専務である)私は、父が経営する会社に入る前に2年間、他の会社に勤務していました。こちらに入社後、これまでの業務の進め方では経営管理の面で把握しにくいと感じる状況がありました。「会社が変わるきっかけ」はなかなか作れないという実感があります。惰性ではダメです。外部のコンサルタントの方からISO9001について聞く機会もあり、管理方法の見直しのため、「社員一人一人の意識を、ISOを利用しながら変えていこう」と決めて取り組むことにしました。

当初、従業員からは「大変だ」という声が上がりました。実は私は以前働いていた会社でもISOを経験しています。非常に分厚い資料が印象に残っていますが、社員10人強の弊社ではそこまで必要はありません。帳票類はいつも使用しているものを活用し、書類を増やないなどそれまでの仕組みを活かしながらマニュアル制作を進めました。


営業ツールとしても活用できる独自マニュアル

マニュアルは厳秘資料ではなく「営業ツール」に

2013年から1年計画で取り組み、2014年9月にISO9001を初回登録。2015年の改訂を想定しながらだったので、規格の動きに合わせながら、2015年の改訂版にもスムーズに移行できました。

弊社のマニュアルは見やすさ、使いやすさを踏まえて、カラーで薄いものになっています。図表を多用し、文中に偉人たちの名言を引用するなどの工夫も。単に文書化したものではなかなか見ないですよね。社内の会議には、手元にこのマニュアルを置いて活用しながら進行。その際にメモできるように余白を多めに取っているのも特長です。マニュアルは社内に隠し持つ厳秘資料ではなく、お客さまにも見せています。自社のセールスポイントの披露、営業ツールとしての活用です。特にISO9001を取得済みの企業からは「(うちとは違って)凄いですね」という言葉をいただくこともありますね。


納品を控えた製品が整然と並ぶ自社の配送センター

ISO9001は「日々の業務に落とし込むこと」が大切

2015年秋のISO改訂は、世界のビジネスの変化に応じた改訂です。私たちのような小さな会社には正直、世界の潮流とは距離があると思います。そんな中、ISOを利用することでこういった変化の情報が得られるというのは、非常にメリットが大きいと考えています。

ISO9001は取得して終わりではなく使いこなすもの。会議の事前準備など、日々の業務に落とし込むことが大切です。弊社では全員参加でこの取り組みを行いました。そのおかげで共通認識が深まり、それぞれが仕事の改善を考えるきっかけにつながっています。しかし、マニュアルはまだまだ改善の余地があると思っています。もっとヒューマンなものを目指して、顔写真入りのものなども検討中です。ISO9001の要求事項は、まさに会社が“変われるチャンス”だと思いますね。

徳岡印刷 株式会社

代表者: 徳岡 佑造 資本金: 1,000万円
事業内容: パッケージ及び広告宣伝印刷物の企画・
印刷と企画・製版・印刷・加工の委託管理
URL:徳岡印刷株式会社(Facebook)


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